新しくできたハンドドリップのコーヒー屋でコーヒーを飲んでいて、「あれ、いつもコーヒーだと思っていたあれはなんだったんだ?」という新鮮な疑問が自然に湧いてきたので、それについての話です。
「おっ、これはコーヒーの味がするね」としか思えないコーヒー
スーパーで買った、500g500円の安いコーヒーを飲んだ時の感想。
「おっ、これはコーヒーの味がするね」。
いや、実際そんなことも思わないうちにコーヒーは胃袋へと吸い込まれていることでしょう。
水を飲んだときに「水の味がする!」って思わないのと同じで。
スーパーのロープライスレギュラーコーヒーが、いかに「コーヒーっぽさ」だけを追求したものなのか、ということを考えました。
決してそれを否定するわけでもないし、それが美味しくないとは言いませんが、「コーヒーってこういうもんでしょ」という一般的な認識の上で商品を開発した「大衆向け」の限界に思い耽るわけです。
誰もが納得しそうな味、というだけだなって。
「あれ、コーヒーってこういう味だっけ?」と瞬時に思ってしまったコーヒー
専門店で、目の前で挽いてもらって、それをすぐに淹れてもらったそれは、「コーヒーっぽい」という、変なクセが付加されてなくて、むしろ「コーヒーってこういう味だっけ?」という疑問すら湧き上がってきました。ある意味痛快な裏切り。
なぜなら、「苦味」「酸味」「甘さ」とかいうよくあるバロメーターで測りきれない味がしたんです。
こっちはちょっと苦い、こっちは酸味があるね、とかは言えたとしても、それ以上に何か言いたいけど、なんとも言いがたい感じ。
その言えない部分っていうのが大半を占めているから、ものすごくもどかしい。
もどかしいけど、「美味しい」、ということだけはわかる。それがさらにもどかしい。
もっと、例えば「見え隠れする優しさ」とか「時折見せる幼さ」とか、そういう抽象的な表現をしたくなる。
できないし、したところで納得はできないけど。
コーヒーの味って思ってたよりずっと広がっているんだなと気づかされる、そんな味です。
本当は違いがわからないんじゃなくて、わかるくらいすごいものに出会ってないだけかも、という気づき
ワインの味とかもさっぱりだし、他にも「違いがわからない」ものって結構あると思います。
でも、それってわりと至極当然のことなんだな、とそのコーヒーを飲みながら思えました。
「あれ、なんか違う」と、思えるものに単に出会えてないだけなんだな、と。
そんなことを考えていたのは東戸塚の「Oveja cafe」
戸塚区は、川上町にある、東戸塚駅から徒歩10分ちょいの小さいカフェです。
一杯一杯、挽きたてのハンドドリップコーヒーが飲めます。
コーヒー苦手と公言する店主が切り盛りする、コーヒー専門店です。